ビジネスを運営する上で、税務に関する知識やサポートは重要な要素です。
特に初めて税理士を探す方にとって、適切な税理士を見つけることは、ビジネスの成長を加速する為や将来的な税務問題を回避する上で重要です。
しかし、税理士選びは簡単なことではありません。
適切な税理士を選ぶことは、ビジネスのスケールや業界によって異なる要件があるため、一概には言えません。
それでも、初めて税理士を探す方が共通して押さえておきたいポイントがいくつかあります。
そこで、本記事では、初めて税理士を探す方が気を付けるべきポイントをおすすめベスト5としてまとめました。
税理士探しに迷っている方はもちろん、すでに税理士を利用している方も、この記事を参考にして税理士選びの見直しや、新たな視点での検討を行ってみてください。
目次
安易な税理士探しは危険
安易な税理士探しは危険です。
自分で処理できない税務を専門家である税理士に依頼する場合、インターネット検索で多数の税理士事務所がヒットするでしょう。
しかし、「資格を持っているならスキルは同じだろう」「できるだけ安い税理士に依頼しよう」といった考え方で税理士を選ぶと、失敗の可能性が高くなります。
実際に、「税務に関する質問に明確な回答が返ってこない」「税務処理や税務申告を自分自身で行っていた時に比べて費用対効果が悪くなった」「相談料の名目で高額な金額を請求された」「税理士の態度が悪く高飛車でコミュニケーションが難しい」などの失敗談を多く聞きます。
その為、税理士を選ぶ際には「税理士を探す方法」について、慎重に検討する必要があります。
また、税理士の得意・不得意な分野は事前に確認することが重要です。
税理士の資格を持っていても、全ての税務に精通しているわけではありません。
例えば、法人税の申告業務を熟知している税理士でも、事業承継に向けた適切なプランを提案できないことがあります。
事業承継や相続に関する税務には、相続税や資産税の知識が必要不可欠ですが、法人税に詳しい税理士であっても相続税や資産税に関する知識が欠けている税理士も存在します。
さらに、注意すべきなのが税理士資格を持たないのに税理士を名乗る「偽税理士」の存在です。
これらの「偽税理士」は、違法行為を行っている可能性があり、税務書類の作成などの税理士業務を行うことは違法行為となります。
税理士料金が異常に安い場合は、「偽税理士」を疑ってみる必要があります。
日本税理士連合会の税理士情報検索サイトで、登録されている税理士であるかどうかを確認することができます。
このように、信頼できる税理士を選ぶ為には、事前に情報収集を行い、慎重な判断が求められます。
その為、「税理士選び」の前段階である「税理士探し」が重要になります。
1.税理士紹介サイトを利用する
特別なこだわりがなく、様々な税理士からの見積もりを希望し、低コストで依頼したい場合、税理士紹介サイトを使った探し方がおすすめです。
主要な税理士紹介サイトとして、「税理士紹介センタービスカス」「税理士ドットコム」「アイミツ」「ミツモア」などがあります。
サイトに登録をし、希望条件を入力することで、複数の税理士事務所から応募があり、気に入った事務所とコンタクトを取り、価格交渉や条件面の交渉を行い商談・契約をする流れです。
利用者に無料で利用できる一方で、登録している税理士は高額な登録料・成約手数料がかかり、それがサイトの収益源となります。
相見積もりの性質上、価格競争が激しくなりがちであるため、税理士紹介サイトに登録していない税理士事務所も多いです。
それでも、登録している税理士事務所の数は多く、一度に複数の事務所を容易に比較できるため、まずはこの方法を試してみることをおすすめいたします。
【メリット】
・多くのの税理士から見積もりや条件面などの情報が簡単に収集できる
・税理士を探す利用者は無料で利用できる
・サイトによっては税理士紹介の専門コーディネータが相談にのってくれる
【デメリット】
・低価格だが低品質(サービスの範囲が狭い)の場合がある
・全ての税理士が登録しているわけではなく、相見積もりの性質上、高価格・高サービスの税理士と出会うのは難しい可能性がある
税理士紹介センタービスカス
サイト名 | 税理士紹介センタービスカス |
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事務所登録数 | 4,200以上 |
相談実績数 | 170,000件以上 |
サービス利用料 | 無料 |
WebサイトURL | https://www.all-senmonka.jp/ |
税理士ドットコム
サイト名 | 税理士ドットコム |
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税理士登録数 | 6,460以上 |
相談実績数 | 243,600件以上 |
サービス利用料 | 無料 |
WebサイトURL | https://www.zeiri4.com/ |
税理士コンシェルジュ
サイト名 | 税理士コンシェルジュ |
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事務所登録数 | 45,000以上 |
相談実績数 | 20,500件以上 |
サービス利用料 | 無料 |
WebサイトURL | https://zeirishic.com/ |
アイミツ
サイト名 | アイミツ |
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事務所登録数 | 3,650件以上 |
相談実績数 | 170,000件以上 |
サービス利用料 | 無料 |
WebサイトURL | https://imitsu.jp/ct-tax-accountant/ |
ミツモア
サイト名 | ミツモア |
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事務所登録数 | 不明 |
相談実績数 | 70,000件以上 |
サービス利用料 | 無料 |
WebサイトURL | https://meetsmore.com/t/tax-accountant |
2.検索エンジン(インターネット)を利用する
特定の業界に特化した税理士や、特別な条件の税理士を求めている場合は、GoogleやYahooといった検索エンジンを利用する方法がおすすめです。
税理士紹介サイトには業界や専門分野などの選択肢が用意されていますが、「●●の業界に対応可能」「●●業の専門」では、意味合いが大きく異なります。
業界や分野に特化した税理士は限定されている為、「税理士 ●●専門」「●●業の専門税理士」などのキーワードで検索し、上位に表示されるいくつかのWebサイトを調べることで、相場感やイメージを把握できるでしょう。
ただし、インターネット検索では、Webサイトがない税理士やWebサイトに力を入れていない税理士は見つけることが困難です。
代々引き継がれるような税理士事務所は紹介ベースのみで仕事を依頼されることもあり、インターネット検索で上位に表示されることが必ずしも実力のある税理士であるとは限りません。
多くのケースでは実力や実績がある税理士事務所が上位に表示されますが、検索エンジンでの上位対策に力を入れているWebサイトが上位に表示される可能性もあります。
【メリット】
・簡単に税理士を検索できる
・特定の業界や専門分野に特化した税理士を見つけやすい
【デメリット】
・Webサイトがない税理士、または検索エンジンに力を入れていない税理士には出会えない
・Webサイトの上位表示が必ずしも実力や実績を示すわけではない
3.知人・友人・取引先などから紹介してもらう
親しい知人や友人、あるいは取引先が税理士を既に利用している場合には、その人や取引先から直接紹介を受けることが非常に有益です。
税理士には様々なスキルや専門性、そして対応スタイルが存在します。
その為、紹介を受ける前に、税理士のサービス内容や人柄、対応スタイルについて具体的に話を聞くことができれば、税理士選びで失敗するリスクを大幅に軽減できます。
親しい関係にある人が既に税理士を利用している場合、その人の意見や経験を参考にすることで、最も効果的な税理士選びができるでしょう。
税理士も人間であり、実力や実績だけでなく相性の問題が発生することがあります。
しかし、そのような問題も親しい人が推奨してくれる税理士であれば、自分との相性が良い可能性が高くなります。
ただし、紹介を受ける相手が取引先や業者(保険会社や不動産会社など)である場合には、注意が必要です。
その人や取引先が税理士と業務提携を結んでおり、紹介料を支払うことで税理士紹介を仲介している可能性がある為です。
また、利害関係がある相手から紹介を受けた場合、仮に相性が悪かったとしても、断りにくく解約が困難になる可能性があります。
この点を考慮して、紹介を受ける相手を慎重に選ぶことが重要です。
【メリット】
・税理士に依頼する前に、サービス内容や人柄、対応スタイルなどについて情報収集が可能
・親しい人や取引先からの紹介であれば、相性が良い可能性が高い
【デメリット】
・身近に税理士を利用している人がいない場合は紹介を受けることができない
・取引先や業者からの紹介である場合、真にお勧めの税理士であるかどうかは疑問が残ることがある
・親しい人や取引先からの紹介の場合、問題が生じた際に解約し難いい場合がある
4.freee認定アドバイザーやMFクラウド公認メンバーから探す
「freee認定アドバイザー」と「MFクラウド公認メンバー」の資格を持つ専門家を利用することで、クラウド会計ソフトのfreeeやMFクラウドを使うことに興味がある方や既に使用中の方には、非常に有益に働く場合があります。
また、これらの資格を取得する為には、申請、承認後に一定の研修を受講する必要があります。
その為、一定レベルの専門的な知識や能力を持っていることが保証されており、利用者にとっては安心材料になることが期待できます。
さらに、freeeやMFクラウドの専門家であり、通常よりもサポートが手厚くなっています。
したがって、どのような問題があっても彼らから十分なサポートを受けることができます。
ただし、一つの欠点は、freeeやMFクラウドに限定されている為、他の会計ソフトを使用している場合はデータ移行の手間や、操作の習熟に多少の時間がかかることが挙げられます。
これらの情報を総合すると、既にfreeeやMFクラウドを使用している場合や将来的にfreeeやMFクラウドを使用する場合には、freee認定アドバイザーやMFクラウド公認メンバーを利用することが推奨されます。
freee認定アドバイザーやMFクラウド公認メンバーは、専門的な知識と能力を持っているだけでなく、無料のサポートも提供している為、無料の専門家のサポートを利用することで、より円滑な会計作業を実現することができます。
【メリット】
・freee、MFクラウドに強い税理士しか登録されていない
・通常の事務所よりもサポートが手厚い
【デメリット】
・freee、MFクラウド以外の会計ソフトには対応していない可能性がある
・会計ソフトの乗り換えの場合は、データ移行の手間と操作の慣れが必要
5.商工会議所など無料相談に行く
税理士を探す必要がある場合には、必ずしも税理士に直接相談する必要はありません。
商工会議所など経営に関する無料相談に行く方法もあります。
商工会議所では、定期的に無料の税務相談を開催しており、参加して実際に税理士と話をすることができます。
その後、相談した税理士が気に入った場合に直接依頼することが可能です。
直接会って税理士の人柄や雰囲気、専門性や知識などが分かる点はメリットですが、商業的な目的で来ている税理士か否かは分かりません。
また、税理士費用が希望条件と合わない可能性もあります。
しかし、メインは商工会議所の無料相談であり、「もしも適切な税理士が見つかれば依頼する」という感覚で足を運んでみるのはいいかもしれません。
この方法の利点は、直接会って人柄や雰囲気、専門性や知識などを確認することができることと、経営などの無料相談を兼ねて税理士を探せることです。
ただし、複数人の税理士を見比べることはできないという欠点があります。
また、依頼をしても断られてしまう可能性や、料金や条件面などの折り合いがつかない可能性があることも考慮する必要があります。
【メリット】
・直接会って人柄や雰囲気、専門性や知識などを確認することができる
・経営などに関する無料相談を兼ねて税理士を探せる
【デメリット】
・複数の税理士を比較することができない
・依頼をしたいが断られる可能性、料金など条件面の折り合いがつかない可能性がある
税理士の探し方まとめ
本記事では、税理の探し方についての方法をご紹介いたしました。
一言で税理士といっても税理士には得意としている分野や業界、税務知識や専門性が異なります。
また、税理士との相性や対応の迅速性や丁寧さなど、自分に合った税理士を様々な面から見極めることが重要です。
しかし、自分自身で税理士を探すのは大変です。
信頼できる税理士を探せる補償もなく悪質な業者に出会う可能性もあります。
本記事でご紹介した税理士探しの方法にはメリット・デメリットがありますが、必ず複数の税理士(事務所)とコンタクトをとり比較してみましょう。
知人や取引先からご紹介いただいた場合などは複数人と比較することは難しいかもしれませんが、無料相談は無料の税理士がほとんどですので、最低でも2人(事務所)、可能であれば3~5人(事務所)の中から比較検討するとご自身にマッチした最適な税理士と出会える可能性が高くなります。
複数の税理士を比較検討することは時間や手間がかかり大変ですが、経営のパートナーとなる税理士探しに妥協は禁物です。
むしろ時間や手間をかけ後悔しない選択をすることが必要です。
良い税理士との出会いは、会社や経営を成長させる第一歩ともいえます。
本記事でご紹介した税理士探しの方法を参考にいただき、ご自身に合った税理士と出会いましょう。